梅干し
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- 塩分が気になるのですが、漬ける時の塩を減らしても大丈夫ですか?
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塩分を減らすと、カビのリスクが高くなるので、あまりおすすめしません。初めての人は、失敗しにくく、美味しく仕上がる「2割塩」、つまり梅の実の重量の20%で漬けることをおすすめします。慣れてきたら、15%ぐらいまでを目安に減らしてみましょう。ただし、15%の場合は重石を重くし、梅酢の上がりを良くするなどの配慮が必要です。
食べる時の塩分が気になるようでしたら、漬けあがった梅干しを薄い食塩水にさらし、塩抜きをする方法があります。塩抜きしたものは保存性が悪くなるので冷蔵庫で保管し、早めにお召し上がりください。
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- 買ってきた梅がまだ青いです。どうしたらいいですか?
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直射日光の当たらない風通しのいいところに広げておき、熟するのを待ちましょう。全体的に黄みがかってきた頃が漬け時です。また、青くて硬い梅は、しょうゆ漬けや梅酒、梅肉エキス作りには最適な頃合いですので、ぜひそちらにも挑戦してみてください。
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- あく抜きのために水に漬けていた梅が茶色くなってしまいました。
梅干しにしても大丈夫ですか?
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梅の実に傷がついていたか、梅の実が熟しすぎていたことが原因と考えられます。ある程度熟した実であれば、1~2時間のあく抜きで十分です。様子を見ながら調節しましょう。変色がひどくなければ漬けても問題ありませんが、水に漬けすぎたものは、梅干しにするのはあきらめて、ジャムなどに利用するとよいでしょう。おかしな臭いがする場合は、腐敗の可能性があるので、安全のため破棄しましょう。
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- 重石はどれぐらいの重さの物を使用したらよいですか?
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梅の実の重さが5kgくらいまでなら、梅の1.5~2倍程度の重さを目安にしてください。5kg以上の梅を漬ける時は、梅の重さで下の方の梅が潰れてしまうことがあるので、梅の実と同量かやや重い程度にします。重石が軽すぎると梅酢の上がりが悪くなり、カビの原因となるので、梅酢の上がり具合を見ながら調節しましょう。
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- カビ対策に気を付けることを教えてください。
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まず、水分を絶対に入れないことが大切です。作業に入る前に、材料や道具類の水気はしっかり取り除いておきましょう。天日塩には水分が含まれているので、乾煎りして水分を飛ばしてから使います。また、塩分が少なすぎたり、重石の重さが足りなかったりすると、梅酢の上がりが悪くなり、カビが出やすくなります。
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- 日干しや夜干しの途中に雨に当たってしまいました。どうすればよいでしょうか。
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少し当たった程度なら、そのまま乾かし晴れてから、日に当てて乾かすと良いでしょう。
かなり濡れてしまった場合は、しっかり水気をふき取り、古い梅酢か焼酎をふりかけて、ざるに広げたまま室内に入れて、翌日、日に当てて干しましょう。
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- 土用干しをしても皮がやわらかくなりません。どうしてですか。
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梅の熟し具合が足りなかった可能性が考えられます。青くて硬い梅で漬けると、皮がやわらかくならない時があります。
梅肉エキス
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- いくら煮詰めても色が茶色いままで黒くなりません。どうしたらいいですか。
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黒くならなくても、トロリと粘りが出ていれば大丈夫です。粘りが出ていない時はもう少し根気よく煮詰めてください。煮る時間は1kgの青梅で約1時間半~2時間が目安です。
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- 煮詰めすぎてカチカチになってしまいました。どうしたらいいですか。
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「梅肉エキスジュースの素」にしてしまいましょう。コップ1杯分ぐらいの水を足して火にかけ、こびりついたエキスを溶かします。好みの量の黒砂糖またはハチミツを加えてさらに煮溶かせば出来上がり。水やお湯などで薄めて飲んでください。ただし、長くは保存できないので、冷蔵庫に保管し、なるべく早めに使い切るようにしてください。
梅肉エキスは、冷めると固くなるので、少しやわらかいと感じるくらいで火を止めるとよいでしょう。
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- 梅の絞りカスを捨てるのがもったいない気がします。何か利用法はありますか。
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梅ジャムにしてはいかがでしょう。作り方は普通の梅ジャムと同じです。ハチミツは裏ごしした梅と同じくらいの量を加えてください。
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- 梅をすりおろして絞り汁を取るのが大変です。何か簡単な方法はありませんか。
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ジューサーを使って作ることもできます。洗って水気を取った梅の実を、梅割り器や木槌を使って割り、種を取り出したものをジューサーにかけて果汁を取ります。あとは手作りと同じ手順です。梅の実は酸が強いので、使った後のジューサーの金属部分は特に丁寧に洗って十分に乾燥させてください。
梅 酒
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- 漬けた梅の実がシワシワになってしまいました。ふっくら漬ける方法はありますか。
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梅の実の表面に竹串で数カ所穴を開けてから漬けると、シワシワにならず、ふっくら仕上がります。
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- 氷砂糖以外の砂糖で漬けてもいいですか?
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氷砂糖は純度が高く、ゆっくり溶けていく性質があるため、梅酒づくりに適しています。同様に、黒砂糖も比較的梅酒づくりに向いていると言えます。黒砂糖を使用した場合は多少発酵することがあるので、ときどき蓋を緩めて空気を抜くようにしましょう。
一方、普段使っているような白砂糖やグラニュー糖は早く沈殿して下で固まってしまい、半分ぐらいは溶けずに残ってしまうので、やめたほうがよいでしょう。
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- 梅の実は、いつ頃取り出したらよいですか。
- 取り出す場合は、1年以上置いてから取り出してください。取り出さず、漬けたままでも問題ありません。
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- 梅酒の梅の実の利用法を教えてください。
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そのまま食べてもおいしいですが、いくつかの活用法をご紹介します。
【梅ジャムに】
取り出した梅の実をゆでこぼし、もう一度ひたひたの水を加えて煮込み、梅が指でつぶれるくらいにやわらかくなったら裏ごしします。好みの甘さになるよう、ハチミツを加え、弱火でゆっくり煮詰めれば出来上がり。
【カレーに】
みじん切りにした梅の実を仕上げる少し前のカレーに入れて一緒に煮込むと、カレーのコクが増しておいしくなります。
【煮物に】
魚の煮物に入れると味が引き立ち、ニオイ消しにもなります。
他にも、ゼリーやフルーツケーキなどのお菓子作りにも活用できます。梅の実にアルコールが含まれているので、お子様やお酒に弱い方が召し上がる場合は、しっかり加熱して十分にアルコールを飛ばすよう気を付けてください。
《参考文献》
松本紘斉著『松本紘斉のよく効く梅百科』(家の光協会)